投稿倫理規定

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1. 剽窃についての注意

  論文中で他人の研究成果を使用する場合には、必ず本文にその研究を引用し、引用文献欄にも記載してください。自分の研究に関連する他人の重要な貢献を無視するようなことは避けなければなりません。他人の研究成果を自分のものとして発表することは、無論、厳に慎まなければなりません。

他の著作物から引用をする場合は、必ず出典を明記してください。出典を明記しない引用は剽窃(plagiarism)と見なされる可能性があります。

 とくに英語で論文を執筆する場合は注意が必要です。他人の英語論文から記述を抜き出して、そのまま、あるいは僅かに変えただけで自分の論文に使用すると、剽窃として糾弾・告発される恐れがあります。実験手続きの説明などに使われる慣用的な言いまわし(例:”as quickly and as accurately as possible”)は、そのまま借用することが一般に認められていますが、そうした決まり文句以外の記述を無断で使用することは避けなければなりません。

出典を明記する場合でも、引用がかなり長い場合は、著作権者から書面で許可を得る必要があります。どの程度の長さから許可を必要とするかは、著作権者が判断する事項であるとされています。一例として、アメリカ心理学会は、その出版物から引用をする場合、500語を目安として、それより長い引用には、書面による許可の取得を義務づけています。


2. 捏造についての注意

 データを捏造することは厳に慎まなければなりません。捏造されたデータは、その分野の研究を混乱させる恐れがあります。また、捏造が露見した場合は、自分自身が研究者生命を断たれる事態にもなりかねません。

データの部分的な改竄も捏造と見なされます。解釈を容易にするための恣意的なデータ削除も同様です。データの一部を削除したり、代表的なデータのみを示したりする場合には、削除または選択の客観的な基準を明記してください。


3. 権利関係についての注意

 研究データに権利を持っているのは、そのデータを直接集めた人だけではありません。研究に学術的な貢献をした人や組織は、すべて何らかの権利を保有しています。研究を発表する際には、そうした他の関係者の権利にも充分な配慮をしてください。

研究に学術的な寄与をした個人には、その研究を発表する際、連名著者となる権利があります。「学術的な寄与」というのは、研究計画の立案、分析方法の決定、データの解釈、論文の執筆などに参加することを指します。データ入力や分析の実施といった単純作業は、通常、「学術的な寄与」とは見なされません。一方、連名著者は論文の内容に責任を持たなければなりません。従って、連名著者になるかどうかについては、本人の意志を確認する必要があります。

連名著者は、研究への寄与が大きい順に姓名を列挙しなければなりません。寄与が同等の場合は、その旨、脚註に記すことができます。

研究への寄与が単純作業のみである場合、または、寄与がそれほど大きくない場合は、謝辞・脚註などで謝意を表するだけにとどめます。しかし、この場合も、本人の意志を確認しておくことが必要です。

連名著者となるかどうか、連名著者の順序をどうするか、謝辞・脚註に姓名を記すかどうかについては、論文の執筆を始める前までに、遅くとも原稿を投稿する前までには、関係者全員の合意を得ておく必要があります。研究アイデアの帰属、研究の遂行における役割分担、発表の場などについては、研究を始める前に合意を形成しておくと、後々の葛藤を避けることに役立ちます。

組織や団体から資金の提供を受けて研究をおこなった場合は、脚註にその旨を明記してください。

著者の所属は、その研究をおこなったときに所属していた機関とすることが原則です。研究の場を提供した機関は、その研究に一定の権利を持っているからです。論文を執筆する時点で、研究をおこなったときとは所属が変わっている場合には、現在の所属は脚註の方に記すことになります。複数の機関に正式に所属して研究をおこなった場合は、所属は複数になります。

所属機関以外の場所で研究を実施した場合は、謝辞・脚註等、何らかの形でその旨を明記する必要があります。実際に研究の場を提供した機関の貢献が大きい場合は、どのような形が適切かについて、その機関の意向を確認しておくことが必要です。


4. 二重投稿についての注意

 実質的に同一内容の原稿を同時に2つ以上の雑誌に投稿することはできません。また、既に出版物に掲載されている論文と実質的に同一内容の原稿を投稿することもできません。こうした二重投稿が明らかになった場合は、投稿原稿は即時に却下されます。

ここで言う「雑誌」「出版物」には、学会の発表論文集などのように要約された内容のみを掲載している出版物、あるいは、大学の紀要などのように頒布範囲が限られている出版物は含まれません。しかし、書籍やその中の章は含まれます。

二重投稿にあたるかどうかは編集委員会が判断します。従って、投稿した原稿と類似した内容の原稿を他の雑誌に投稿している場合、あるいは、既に出版している場合は、投稿する際に、それらに関する情報を編集委員会に提供しなければなりません。


5. 査読者への注意

  査読を依頼されたとき、原稿に記されている研究の内容を見て、自分は評価をおこなうには不適格であると判断した場合には、査読を辞退し、原稿を返却することができます。

  査読者は、原稿が公刊される前に、その内容を自分の研究に利用したり、第三者に明かしたりすることは許されません。

 

以上

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