理事長挨拶

理事長挨拶

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2002年に創設された日本認知心理学会は、2027年で四半世紀を迎えます。25年という年月は人間になぞらえれば、青年期を過ぎ成人期に差し掛かる時期にあたります。認知心理学会も創立以来多くの諸先輩方の努力によって学会としての独自のパーソナリティを築き上げてきました。そうした認知心理学会の良さを継承しつつ、成人期の学会にふさわしい社会的責任を果たしていけるような組織へと発展させることが我々の世代の使命だと考えています。

学会という学術組織にはいくつかの重要な役割があります。その第1は言うまでもなく認知心理学という学問分野の研究を我が国において発展させていくことです。研究の発展には専門分野の研鑽を積んだ研究者同士の真摯で自由闊達な議論が不可欠であることは言うまでもありません。インターネットであらゆる情報が入手できるようになった現在、学会が必要なのかといった議論もありますが、「顔が見える状況での対話の場」を保証するという意味での学会の役割は重要なものであり続けるはずです。そのためには、学会の中核的な事業である年次大会や論文という形での対話を進める学会誌の運営は会員にとって有益なものとなるように常に改善していくことが必要です。具体的には、大会主催校の負担や学会発表賞の在り方などの課題がありますが、これらについても様々な工夫をしていこうと考えています。

最近の学術研究における大きな流れとして、AIの急速な発展とそれに対する対応があげられます。これは、ほぼすべての学術分野で起こっていることでありますが、認知心理学においては、この分野の誕生自体がAIとは切っても切り離せないものであることを踏まえると、単なる技術の利活用という話ではなく、「AIとは何か、知能とは何か、心とは何か」という本質論に対する真正面からの検討が求められていると思います。こうした研究や議論が学会の中で進展していくことを期待しています。

学会の第2の機能として、社会の様々なセクターとの連携があります。認知心理学会では、これまでにも産官学連携や国際連携に関して、社会連携委員会、国際交流委員会などの常置委員会を設置して様々な活動を行ってきています。多くの社会問題が心の問題と密接に関連することを考えると、認知心理学に対する社会からの期待や要請は今後ますます高まることが予想でき、学会としても積極的な対応が必要になってくると考えています。また、WEIRD(Western, Educated, Industrialized, Rich and Democratic)な心理学を超克するという最近の心理学研究の流れを見れば、国際交流も単なる外国との学術交流という段階を越えて、本格的な国際共同研究を進めていく時期に差し掛かっているといえるかもしれません。そうした様々な連携を学会として支援していきたいと考えています。

もう一つの重要な機能は認知心理学の未来を担う次世代の若手研究者の支援です。多くの学会では、若手の会のような組織や若手限定の賞の制定などの形で若手研究者を「育成する」というニュアンスの支援が行われています。しかし、認知心理学会の若手会員との対話から認知心の若手研究者は必ずしもそうした形の支援を望んでいないことが分かっています。これは、フラットな組織を目指してきた認知心理学会の特徴をまさに反映しているのですが、こうした認知心の良さを活かしつつ、いかに若手研究者を支援していくか、認知心理学会ならではの若手研究者支援のあり方をこれから模索していく所存です。

認知心理学会が皆さんにとって真に有意義な学会となるよう、様々な取り組みを進めていきます。皆さんからのご支援、ご協力をいただければ幸いです。

日本認知心理学会理事長
齋木 潤

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