『認知心理学研究』第16巻 第2号

『認知心理学研究』 第16巻 第2号(平成31年2月)

目次

  • 原著/瞬目の模倣が他者の印象に与える影響(前川 亮・乾 敏郎)

  • 資料/自由選択課題におけるポストディクションの再検討(水原啓太・武藤拓之・入戸野 宏)

  • 優秀発表賞/第16回日本認知心理学会優秀発表賞の選考結果のお知らせ(熊田孝恒)

  • 会報
    日本認知心理学会第16回総会報告
    2017年度決算
    2018年度予算・新規事業計画案
    2017年度研究部会からの活動・会計報告
    2018年度第2回理事会報告
    第17回大会ご案内
    公開シンポジウムの報告
    受領図書
    お知らせ
    日本認知心理学会 会則 
    日本認知心理学会選挙細則
    「認知心理学研究」諸規程

Abstract

原著/瞬目の模倣が他者の印象に与える影響

前川 亮・乾 敏郎(追手門学院大学)

 われわれは普段,無意識に他者の動作を模倣している.さらに,他者に模倣されることで相手によりよい印象を持つことが知られている.この被模倣による印象の向上効果は,手や足の動き,表情の変化,また瞳孔径の同期などで起きることが確認されている.一方,瞬目は映画鑑賞時やスピーチを聴くときに鑑賞者の間で同期することが知られており,瞬目においても模倣が生じることが推測されるが,実際に瞬目の模倣や被模倣の影響は調べられていない.そこで本研究では,他者の瞬目を模倣しているかどうか,そして瞬目の被模倣が模倣者の印象を改善するかどうかを調べた.実験では,ランダムに瞬目する画像を呈示し,画像の瞬目に対して参加者の模倣が生じるかどうかを解析した.また,参加者の瞬目に同期して瞬目する画像を呈示し,瞬目の被模倣が画像の印象に与える影響を調べた.結果,参加者は無意識に画像の瞬目と同期して瞬目をしており,さらに,参加者の瞬目を模倣した画像がより好感度が高いことがわかった.
キーワード:瞬目,模倣,好感度

資料/自由選択課題におけるポストディクションの再検討

水原啓太・武藤拓之・入戸野 宏(大阪大学大学院人間科学研究科)

 人は自分が意思決定したタイミングを正確に知覚できない.Bear & Bloom(2016)は,画面上に五つの白い円を提示し,実験参加者に任意の円を選ばせた.しばらくして一つの円(標的刺激)を赤色に変化させ,参加者にその円を選んでいたかどうかを尋ねた.その結果,色の変化までの時間(遅延時間)が短いと,標的刺激を選択していたと回答する割合が高かった.これは,実際には色の変化が選択に影響を与えたにもかかわらず,変化前に選択していたと錯覚したことを意味する.本研究では,遅延時間が25~50 msのときに同様の効果が認められたが,さらに短い17 msでは認められなかった.この知見は,意思決定のタイミングについてのポストディクションを支持する新たな証拠である.また,色の変化までに円の選択が間に合ったという報告は,遅延時間が167 ms以下のときに実際よりも多くなることが示された.この結果は,遅延時間が短いときに,意思決定についての意識が後付け的に生じることを示唆している.
キーワード:タイミングの知覚,自由選択,意思決定

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