-投稿・審査にかかわるすべての皆様へ-
2022年10月に開催された日本認知心理学会第20回大会において,編集委員会が企画した「機関誌『認知心理学研究』は生まれ変わります」というワークショップが行われました。このワークショップを機に変更された『認知心理学研究』の編集・査読方針,特に以前と異なる点をここにまとめています。
1.査読ポリシー
1.1.査読ポリシーの大方針
査読ポリシーの大方針として,「論文の評価は読者に委ねる」と定めました。「どのようにすれば論文を採択に導くことができるか」という視点で査読を行うという方針を,査読にかかわるすべての人の間で共有しています。
投稿された論文に対して,まず編集委員会の中から担当編集委員を決めて,その委員が2名の査読者を選定します。そして,査読者は上記のような視点で査読を行い,担当編集委員も同じ視点に立って査読結果をまとめ,必要があれば,査読者の報告に対して積極的に介入します。さらには,査読者および担当編集委員の報告に対して,委員長・副委員長・事務局で構成される「幹事会」のメンバーも同じ視点でそれらの報告を吟味し,必要があれば,積極的な介入を行っています。
もちろん,むやみやたらに介入を行うということではなく,査読結果や報告を尊重することを大前提として,査読ポリシーが遵守されているかどうかということに対する責任をしっかりと担うことが肝要であると考えています。
1.2.査読ポリシーの基本方針と留意点
上記の査読ポリシーの大方針のもとに,以下のように,具体的な査読の基本方針と留意点を明示しています。
基本方針
(1)独自性,貢献可能性,有用性のいずれかを見つけ出す。
論文の独自性,認知心理学の発展への貢献可能性,会員にとって有用な情報を見つけ,その部分を積極的に評価してください。
(2)採択可能レベルに近づけるためのコメントをする。
現状では採択と判定できない問題を有する論文であっても,独自性,貢献可能性,有用性があるならば,それらが発揮されるよう建設的なコメントや改稿案を提示してください。
(3)完璧を求めない。
「完璧な論文」「欠点のない論文」のみが採択されるわけではありません。多少の欠点があっても,独自性,貢献可能性,有用性のある論文が不採択にならないことのほうを重視してください。
(4)不採択もやむを得ないことはある。
とはいえ,本誌の質を落とす不適切な審査を求めているわけではありません。独自性,貢献可能性,有用性のいずれも見いだせない論文,または本質的な問題があり改稿を行っても採択が難しいと判断される論文については,不採択もやむを得ません。
著者へのコメントについての留意点
(1)初回査読時に,問題点を可能な限りすべて指摘してください。再査読時に,初回査読時にはなかった新しい問題点を指摘する場合には,可能な限りその理由(改稿によって新たに生じた問題であるなど)を記載してください。
(2)実験や調査等,データ収集の追加を要求するときには,現状の記載内容で主張できることの価値を評価し,追加が採択の前提要件なのか,または論文の説得力を上げるために望ましい条項なのかを明示してください。
2.査読プロセス(投稿者にかかわる点)
2.1.初回改稿期間の延長
以前は3週間でしたが,4週間になっています(審査手順規程 第7条)。
2.2.ページ数の上限撤廃
ページ数(刷り上がり分量)の上限は撤廃されています(執筆・投稿規程 第5条)。ただし,目安としては10ページ程度としています。
2.3.査読手数料および掲載料の減額・無料化
査読手数料および掲載料が,以前に比べて減額または無料化されています(執筆・投稿規程 第16条)。
3.査読プロセス(編集委員会にかかわる点)
3.1.短期間での査読者審議
担当編集委員によって選定された2名の査読者を幹事会が審議し,査読者への依頼を進めています(審査手順規程 第4条)。以前に比べ,査読に進むまでの時間が短くなっています。
3.2.短期間での採否判断
最終的な査読結果つまり採否判断を,幹事会が3日間で行っています(審査手順規程 第10条,第11条,第12条)。これにより,査読にかかる時間が短くなっています。
3.3.担当編集委員および幹事会の積極的な介入
査読結果やその報告に対して,担当編集委員および幹事会が積極的に介入できるようにしています。具体的には,査読結果が分かれた場合に,査読ポリシーに基づき,できるだけ査読を継続する方向へ促したり,2名の査読者の報告の中に相反するコメントがあった場合にコメントを適切に整理するなどして対処したり,あるいは,査読ポリシーや基本方針に適合しない査読結果が報告された場合にそれを差し戻したりするなどです。
3.4.査読者報奨金
短期間で査読してくださる査読者のみなさまの貢献に少しでもお応えするため,初回の査読において,3週間以内に査読結果が報告された場合,5,000円相当の報奨金(Amazonギフトカード)を授与しています。
4.早期公開
2025年からは,J-STAGEでの早期公開も開始しました。『認知心理学研究』の読者の皆さまにとっては,号の刊行を待たずに最新の研究知見へアクセスでき,研究動向を迅速に把握していただけるようになりました。『認知心理学研究』に投稿してくださる著者の皆さまにとっては,研究成果を迅速に公表することで,被引用の増加,学術的議論の早期開始が見込めるようになりました。認知心理学に関わる皆さまのキャリア形成や資金獲得等に,少しでも貢献できればという思いです。
5.まとめと今後の課題
上記のワークショップを実施し,方針の変更をみなさまにご理解いただけたおかげで,『認知心理学研究』への投稿数は年々増加しています。また,改革後の採択率は約70%となり,かつ上昇傾向にあります。『認知心理学研究』のあり方については,今後もみなさまにご意見をいただきながら,編集委員会で議論していきたいと考えています。
論文の投稿をお考えの皆さまには,ぜひ今後とも,『認知心理学研究』を投稿先の選択肢に入れていただければ幸いです。『認知心理学研究』および日本認知心理学会の更なる発展に向けて,引き続き,皆さまのお力添えをよろしくお願いいたします。






