『認知心理学研究』第15巻 第2号

『認知心理学研究』 第15巻 第2号(平成30年2月)

目次

  • 原著/日本語の同音異義語処理に対する仲間の数と文脈の影響(水野りか・松井孝雄)

  • 資料/嗜好品摂取時に無意図的に想起される自伝的記憶の特性と機能(山本晃輔・横光健吾・平井浩人)

  • 特別寄稿/ICP2016 (第31回国際心理学会議)
     日本認知心理学会・韓国認知生物心理学会共同主催シンポジウム報告
     「環境の多様性を通じてユニヴァーサルな認知機構を知る」
     2講演の翻訳・掲載にあたって(原田悦子・齋木 潤・齊藤 智・李 光五)
     ヒトの神経–意味コードにおける普遍性と多様性 Timothy T. Rogers (日本語訳:西山 慧)
     心理学における多様性への挑戦:WEIRD研究の示唆と改善 Steven Heine (日本語訳:三宅真季子)
  • 優秀発表賞/第15回日本認知心理学会優秀発表賞の選考結果のお知らせ(箱田裕司)

  • 会報
    日本認知心理学会2017年度第2回理事会報告
    第16回大会ご案内
    公開シンポジウムの報告
    受領図書
    お知らせ
    日本認知心理学会 会則 
    日本認知心理学会選挙細則
    「認知心理学研究」諸規程

Abstract

原著/日本語の同音異義語処理に対する仲間の数と文脈の影響

水野りか・松井孝雄(中部大学)

 水野・松井(2016)は,日本語の同音異義語では仲間が多いほど顕著な同音異義語効果が認められることから,同音異義語が呈示されるとその複数の仲間が活性化されることを示した.しかし日本語は同音異義語が多く,概してその仲間の数も多いため,この知見から考えれば日本語が処理に時間のかかる言語だということになってしまう.著者らは,文脈効果の知見から考えて,適切な文脈があれば仲間の数にかかわらず日本語の同音異義語も円滑に処理され,同音異義語効果は生じないのではないかと考えた.そこで本研究では,意味的に一致した文脈と不一致の文脈を呈示して仲間が多い同音異義語,仲間が一つの同音異義語,非同音異義語の語彙判断時間を測定した.その結果,一致した文脈を呈示した場合は仲間が多くても少なくても同音異義語効果は生じないことが見いだされ,日本語の同音異義語は適切な文脈があれば仲間の多少にかかわらず非同音異義語と同じように円滑に処理されることが明らかとなった.最後に,現実場面に近い状況で言語処理過程を検討する必要性が論じられた.
キーワード:語彙判断,同音異義語効果,日本語同音異義語,仲間の数,文脈

資料/嗜好品摂取時に無意図的に想起される自伝的記憶の特性と機能

山本晃輔(大阪産業大学)
横光健吾(公益財団法人たばこ総合研究センター)
平井浩人(公益財団法人たばこ総合研究センター)

 本研究では,酒,茶,コーヒー,タバコといった嗜好品摂取時に,無意図的に想起された自伝的記憶の特性,およびその機能について検討を行った.408名を対象に,日常生活のなかで嗜好品を摂取することによって無意図的に自伝的記憶が想起された場合に,その内容や状況,想起後の思考,行為などについて記録するように求めた.その結果,全体で382ケースが回収された.想起された自伝的記憶の大半は,情動的でかつ快であり,重要で想起頻度が多く,鮮明であった.さらにKJ法を用いて機能に関する分析を行った結果,二つの機能が見いだされた.一つは行為の方向づけ (下位カテゴリ:コミュニケーション行動の開始,コーピング,行為の修正など)で,もう一つは心的活動の開始(下位カテゴリ:ノスタルジー,情動の変化,記憶の連鎖など)であった.これらの知見と嗜好品摂取時に獲得される心理学的効果との関連性について議論した.
キーワード:嗜好品,無意図的想起,自伝的記憶,日誌法

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