『認知心理学研究』第11巻 第1号

『認知心理学研究』第11巻 第1号(平成25年8月)

目次

  • 妨害刺激への注意の捕捉による視覚的印付けの不全 大杉尚之(小澤 良)

  • 漢字熟語におけるマスク下の同音語プライミング効果(楠瀬 悠・中山真里子・日野泰志)

  • 刺激項目の反復提示と継続提示がDRM手続きを用いた虚偽記憶に及ぼす影響(野添健太)

  • <資料>日本版成人メタ記憶尺度(日本版MIA)の構造と短縮版の開発(金城 光・井出 訓・石原 治)

  • <資料>限定ラベルが商品魅力・選択に及ぼす影響(布井雅人・中嶋智史・吉川左紀子)

  • <独創賞>第9回日本認知心理学会独創賞の選考結果(太田信夫)

  • <会報>

    日本認知心理学会第11回総会報告

    2012年度決算

    2013年度予算・新規事業計画案

    第12回大会のお知らせ

    2012年度研究部会からの活動・会計報告

    受領図書

    お知らせ

    日本認知心理学会 会則

    日本認知心理学会選挙細則

    「認知心理学研究」諸規程

 

Abstract

妨害刺激への注意の捕捉による視覚的印付けの不全1)

大杉尚之(東京大学大学院総合文化研究科)2)
小澤 良(中京大学心理学部)

非効率的な視覚探索課題において,半数のディストラクタ(先行刺激)が残り半数とターゲット(追加刺激)に先行して提示されると,それらは探索に影響しなくなる.この現象は視覚的印付けと呼ばれている.最近の研究で,視覚的印付けが生起する事態でもターゲットが先行ディストラクタと同じ特徴(e.g., 色)を持つ場合にはターゲットの探索が遅延することが報告された(特徴一致効果).本研究では,特徴一致効果が先行刺激からターゲットへの抑制の持ち越しによって起こるのか,追加ディストラクタへの注意の捕捉による視覚的印付けの不全によるのかについて検討した.実験の結果,追加ディストラクタが注意を捕捉する場合には印付けの効果が弱まった.しかし,実験参加者が追加ディストラクタ色を無視する構えを形成した場合には視覚的印付けは完全に生起した.これらの結果から先行提示探索において妨害項目に注意が捕捉されることで視覚的印付けが不全になることが明らかとなった.

キーワード:視覚的印付け,視覚探索,注意の捕捉,色に基づくグルーピング

 

漢字熟語におけるマスク下の同音語プライミング効果1)

楠瀬 悠(早稲田大学大学院文学研究科)
中山真里子・日野泰志(早稲田大学文学学術院)

形態深度仮説によれば,形態深度が深い表記の語を読む際には,音韻情報は活性化されないはずである.しかし,中国語や漢字表記語に対して音韻情報の自動的活性化を示唆するデータが報告されている.そこで本研究では,マスクされたプライムを伴う語彙判断課題において,漢字二字熟語の同音語ペアにプライミング効果が観察されるかどうかを検討することで,漢字熟語の読みの初期段階に音韻活性化が生じるのかどうかを検討した.異なる刺激セットを使った二つの実験のいずれにおいても,有意な同音語プライミング効果が観察された.これらの結果は,形態深度仮説に反して,漢字熟語を読む際に,音韻情報が自動的に活性化されることを明確に示すものであった.

キーワード:漢字熟語,自動的音韻活性化,マスク下の同音語プライミング効果

 

刺激項目の反復提示と継続提示がDRM手続きを用いた虚偽記憶に及ぼす影響1)

野添健太2)(学習院大学)

Effects of repeated and continuous presentations on DRM false memory 本研究では,総学習時間が等しい場合に,刺激項目を複数回に分けて反復的に提示する条件と,1回にまとめて継続的に提示する条件を設け,それらの操作がDRM手続きを用いた虚偽記憶に及ぼす影響について検討した.反復提示条件では,それぞれの刺激項目が5回提示され,それらの提示時間は400msであった.継続提示条件では,それぞれの刺激項目が1回提示され,それらの提示時間は2,000msであった.そうするは多くならなかった,(c)反復提示条件は継続提示条件よりも虚再認が多くなった,(d)制限時間なし条件と制限時間あり条件との間ことによって,両提示条件の総学習時間は2,000msで統制されていた.再認フェイズでは,実験参加者の半数は750ms以内でテスト項目に反応するように教示されたため,適切なモニタリングを行うことができなかった.残りの半数は自分のペースで反応するように教示され,加えてRemember/Know判断を行った.結果として,以下の知見がもたらされた.(a)反復提示条件は虚再認がもっとも多くなった,(b)継続提示条件では虚再認では虚再認は差がなかった,(e)反復提示条件は虚再認のRemember判断も多くなった.これらの知見は,活性化-モニタリング理論よりもむしろファジィトレイス理論を支持していた.

キーワード:DRMパラダイム,虚偽記憶,提示時間,提示回数,モニタリング

 

日本版成人メタ記憶尺度(日本版MIA)の構造と短縮版の開発1), 2)

金城 光(明治学院大学) 井出 訓(放送大学) 石原 治(静岡福祉大学)

Structure of the Japanese Metamemory in Adulthood (MIA) questionnaire and development of its abridged version The Metamemory in Adulthood (MIA) questionnaire, which was designed to investigate the multidimensional representation of metamemory in North Americans (Dixon & Hultsch, 1983; Dixon et al, 1988), has been one of the most widely and frequently utilized questionnaires in the world. This study aimed to amend the current Japanese MIA (Kinjo et al., 2008) and develop a new short version that is applicable to both young and older adults and to both sexes. Japanese from two age groups participated in this study: young adults (N=240, M age=20.6 years old) and older adults (N=268, M age=70.2). The results of factor analyses showed that six of the original seven subscales (Anxiety, Capacity, Change, Locus, Strategy, and Task) were identified for each age group, the merged age groups, and each sex. Based on this factorial structure, 92 items on the MIA (excluding 16 items of the MIA Achievement subscale from the total of 108 items) could be reduced to 44 items without loss of the factorial structure or lowering the internal consistencies of the subscales for both age groups and both sexes.

Key words: metamemory, memory beliefs, aging, adulthood, questionnaire

 

限定ラベルが商品魅力・選択に及ぼす影響1)

布井雅人(京都大学)
中嶋智史(NTTコミュニケーション科学基礎研究所,科学技術振興機構CREST)
吉川左紀子(京都大学)

本研究では,「限定」することが,商品の魅力評価および商品選択に及ぼす影響について検討を行うことを目的とした.実験では,限定販売であることを示す限定ラベル刺激(期間限定・数量限定・地域限定)と限定無関連ラベル刺激を作成し,商品画像刺激とともに対呈示した.実験1では,商品の魅力度評定が行われ,実験2では,同時に呈示された二つの商品から買いたいほうを選択する強制二肢選択課題が行われた.その結果,すべての限定条件において,限定ラベル刺激によって商品魅力度が上昇した.さらに,期間限定条件では選択率の変化が見られ,数量限定・地域限定よりも限定の影響が大きいことが示された.

キーワード:限定販売,入手可能性の制約,購買意思決定

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