日本認知心理学会のみなさま
お世話になっております。
日本認知科学会の学会誌「認知科学」では、下記の特集を準備しております。
ぜひ、投稿をご検討ください。
タイトル:オンラインの認知科学
掲載予定巻号:第29巻 第2号(2022年6月)
企画趣旨:本企画はコロナ対応を契機としたオンライン化が始まって1年が過ぎ,今後も(少なくともある程度は)オンラインが活用されるであろう,という見込みが出た時期(2021年1月)に提案したものである.2020年度,2021年度は新型コロナ感染症への対応として,全世界的にオンライン活動が推進されたように思う.授業のオンライン化,研究活動のオンライン化,事務作業のオンライン化などに取り組み始めた方も多いであろう.人間の活動も大きな影響を受け,学校を始めとした多くの学習もオンラインとなり,友人や同僚,さらには家族との対話さえも(一部では)オンライン化された.社会全体では,テレワークの推進やそれに伴う人・企業の移動,音楽やスポーツの無観客ライブ配信,電子チケットやオンライン決済の広がりなどが見られ,政策としてもデジタル庁の発足,ギガスクール構想の進展など,数年前には見られなかった様々な事象が発生している.認知科学会としても,2020年度大会や総会もオンライン開催となり,2021年度大会のテーマは「認知科学のDX」となった.この状況は,新型コロナ対応としてやむなく,十分な準備もなく始まったことであり,様々な困難や問題を抱えながら試行錯誤がなされてきた.日本はIT化が遅れていると言われてきたが,今後,学校,企業,行政,家庭,医療,地域活動など,様々な場面でオンラインでの活動が利用されていくだろう.また20年,30年後には,そのようなオンライン社会ネイティブな人達が,社会の中核を担う存在ともなっていく.現在および将来のオンライン活動をより良いものにするには,どうしたら良いだろうか.人間の認知的活動を扱ってきた認知科学から,何らかの提案ができるように思う.
一方で,様々な出来事のオンライン化に関する実験的な実践活動を多くの認知科学研究者が行った,あるいは巻き込まれて経験したという貴重な状況でもある.様々なオンライン活動を経験する中で,実践活動と各自の学問知とを照らし合わせ,新たな研究上の問題の発見や仮説の生成,理論や専門知と現実とのギャップへの気づき,現在のオンライン活動の問題(困難)を解決するような手法・工夫の考案,開発が必要な技術の発見など,研究上の進展もあったかもしれない.オンラインでの認知活動の経験を振り返って,認知科学への提案もできるように思う.
本企画では,オンラインでの諸活動に対する認知科学からの提案,逆にオンラインでの諸活動を経験したことによる認知科学への提案を募集する.なお,2021年度第38回大会「認知科学のDX」と連携した企画も用意する予定である.
募集する論文:オンラインで何ができ,何ができないのか,ヒトの認知や行動の何が変わり,何が変わらないのか,オンラインの困難を克服する手法は何か,逆にオンライン化することで克服できる困難は何かなど,オンラインにおける人間の諸活動の認知科学について,広く研究を募集する.例えば,以下のような領域が考えられる.
・オンライン学習(メディア授業)
・テレワーク
・ライブ配信などオンラインでのエンターテイメント
・仮想空間におけるアバターによるコミュニケーション,バーチャルな人物,対象物との相互作用
・オンラインへの適応の個人差
・オンラインで知り合った相手との関係性の維持
・オンラインとリアルのコンテンツの見方,マインドセット
・オンラインと対面における集団力学,グループダイナミクス
・時空間,対象物,状況を共有しない(制限されない)ことによる影響
など.
応募方法:本特集では,事前エントリー方式で原稿を募集する.執筆を希望する場合は,事前エントリーをすませた上,期日までに論文原稿を送付する必要がある.事前エントリーは,2021年9月7日(火)までに,論文タイトル,論文種別(研究論文,展望論文,短報論文,資料論文),著者氏名・所属・連絡先(住所,電話番号,e-mailアドレス),1000字程度のアブストラクト,キーワード(5個程度)を電子メールにて提出する.件名は「認知科学29-2事前エントリー」とする.論文原稿の投稿時には,『認知科学』の投稿規定,執筆要領にしたがうものとする.
提出先:事前エントリー,問い合わせ等は,以下のアドレスに送付する.
アドレス:jcss292special[at]Qomo.org : [at]を@に置き換えること.
・事前エントリー後,1週間以内にエントリー受付の返信がある.返信がない場合は,編集事務局に問い合わせること.
・論文の投稿方法は,エントリー提出者に個別に連絡する.
スケジュール:おおむね下記のスケジュールを予定している.諸事情により変更の可能性がある.
2021年9月7日(火) 事前エントリー締切
2021年10月8日(金) 論文原稿締切
2021年11月15日(月)頃 査読(1回目)結果
2022年1月24日(月)頃 査読(2回目)結果
2022年2月28日(月) 完成原稿提出締切
2022年6月初旬 2号発刊
特集エディタ:粟津俊二(実践女子大学),新垣紀子 (成城大学),石川悟(北星学園大学)