第27回春の合宿セミナー!「見えないココロを測る:二値・多値データの潜在変数モデリングとその応用」開催のお知らせ
実行委員長 清水裕士(関西学院大学社会学部)
日本行動計量学会の第27回春の合宿セミナーは、講師として大学入試センターの荘島宏二郎先生と,専修大学の小杉考司先生をお迎えし,「テスト理論」について、充実の3日間、90分×9コマの集中講義を行います。テーマについて講師や参加者同士で活発な議論を交わして交流を深めることができるよう、昨年に引き続き合宿形式で開催しますので奮ってご参加ください。富士の裾野で美味しい料理と温泉を楽しみながら2泊3日でしっかり学ぶことができます。なお、合宿形式での参加が難しい方も受講可能なようにオンライン(リアルタイムLIVE/復習オンデマンド配信あり)での参加も可能ですので、遠方の方もぜひ参加をご検討ください。
充実した内容にも関わらず、90分1コマあたり準会員(学生)は500円、正会員は1,000円という価格設定でのセミナー開催は、学会主催であるからこそ実現できるものです。自らの学びと研究のため、あるいは、考え方のヒントを掴み教育に活かすために、学生、社会人実務家から教員の皆様まで、幅広いご参加をお待ちしております。
<開催基本情報>
開催日時:2025年3月28日(金)~3月30日(日)(3日間)
開催方法:対面合宿とオンライン・リアルタイム配信(LIVE形式)のハイブリッド開催
終了後に動画の準備が整いましたら、約2週間、復習用のオンデマンド動画を申込者限定で公開します。当日、参加できない場合にも視聴可能です(動画配信は2025年4月3日〜4月16日を予定しています)。
会場:東富士リサーチパーク内 TOTO 東富士研修所/JR 御殿場駅より送迎バス(タクシーで約15分)
講師:荘島宏二郎(大学入試センター),小杉考司(専修大学)
セミナー詳細・申込
<講師によるコース概要説明>
テストデータは2値(正答・誤答)からなり,そこから得られる情報を活用するための理論がテスト理論です。2値データは情報が限定的である反面,客観的な正誤の判断基準を提供できるため、得られる情報は社会的に高い価値を持ち,さまざまな応用可能性を持つモデルが数多く提案されています。また潜在的な「学力」を測定するという点では,心理学やマーケティングをはじめとする「見えない状態」を測定する技術の基礎であるとも言えます。
このセミナーでは,2値データ分析の基本である項目分析から始めます。項目分析は,各項目がどの程度有効であるかを評価するもので,テストの質を向上させ,テスト結果に基づく意思決定の助けになります。
項目反応理論は,さらに進んだ分析手法であり,個々のテスト項目の特性をモデル化し,受験者の能力や特性を高い精度で推定するための強力なツールです。これらの手法を2値から多値(5段階評価など)に展開した応用モデルも提案されています。これらの知識を身につけることで,より複雑なデータセットや,一般的な調査分析のシーンでも扱えるスキルを習得できます。
さらに,テスト理論を基にした潜在ランク理論やバイクラスタリングモデルは,新たな視点からデータ内のパターンを発見するのに有効です。これは受験者を隠れたクラスに分類するだけでなく,調査項目も同時に分類することを可能にします。学力テストにおいては,どういった領域をどういった順序で学習すると上位ランクに進むことができるか,といった情報を提供することができます。調査においても同様に,反応パターンから見られる状態の推移と回答者パターンの段階的変化を考察することができます。このセミナーでは,これらのモデルの多値データへの応用も紹介します。
加えてこのセミナーでは,Rを利用した実践的な演習も行います。理論と演習を反復することで,より具体的な理解がすすむようコースをデザインしています。本セミナーでは,上記の内容が含まれる,講師による著書『Test Data Engineering』に対応するRパッケージexametrikaを使用した実践演習も行います。このパッケージは,書籍に掲載された理論や分析手法をR上で簡便に実行できるよう設計されており,テストデータを効率的に処理・分析するための機能が豊富に含まれています。セミナーの中で、このパッケージを使用し、項目分析や項目反応理論、多値モデルなどの分析を実際に体験していただけます。Rの基本的な操作から,セミナーに沿ったパッケージを利用した解析まで段階的にサポートしますので,Rに自信がない方でも安心して参加してください。
問い合わせ先
行動計量学会運営委員会
bms_events_at_kosu