日本認知心理学会会員の皆さま,

日本認知心理学会研究法研究部会事務局の望月と申します。

研究法研究部会では2023年度2つ目の企画として,3月16日に研究法に関してさまざまな情報共有を行うクロストークセッションを実施いたします。今回は発表者が決定いたしましたのでご案内をいたします。ご興味のある方は以下をご参照のうえ,多くの方のご参加をお待ちしております。

第6回研究会 クロストークセッション2

研究会概要
心理学・行動科学の研究の中で,研究の方法に関して以下のような思いを抱いたことはないでしょうか。

こんなふうにしてみたらうまくいった(共有)
今こんなことを勉強している(学習)
こんなことをしたいのだけれどこれでいいかわからない(相談)

こうした思いを共有する場として,研究法研究部会では3月にクロストークセッションを開催いたします。各10分程度で内容について発表いただき,研究法に関心のある聴衆と広く情報を共有したり,投げかけた問いについて議論していきます。また,今回はサンプルサイズや刺激の設計についての特別講演もお願いしております。

参加の申し込みについて
今回は対面開催のみとなっております。
参加をご希望される方におかれましてはお手数ですが,https://sites.google.com/view/jscp-research-methods/%E6%9C%80%E6%96%B0%E3%81%AE%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A にあるフォームより3月15日正午までに参加の登録をお願いいたします。
こちらの情報は,配布資料の目安の把握と,当日,皆様が会場へ入構されるための事前申請に使用させていただきます。
登録なしでも当日参加可能ですが,入構時に正門で別途入講手続き(書類記入等)が必要となる可能性がございます。
あらかじめどうぞご了承ください。

開催概要と開催場所(対面開催)
開催日:2024年3月16日(土) 14:00〜17:00(当初のご連絡から1時間遅い開始となりました)
参加費:無料
開催場所:日本大学文理学部3号館3301教室
アクセス:https://chs.nihon-u.ac.jp/about/access/

特別講演

発表者:藤田 和也 先生(筑波大学)
タイトル:統計的な基準に基づくサンプルサイズと実験刺激の設計について
概要:認知心理学実験においては,参加者数,試行数,さらには参加者に提示する刺激を研究者側が決定する必要がある。この実験計画の決定方法については,推定精度や検出力を基準とするような統計的な観点から行うこともできる。本発表では,ベイジアン認知モデリングにおける実験刺激について説明をした後に,GLMMを含む階層ベイズモデルにおけるサンプルサイズ設計および実験刺激選択について説明を行う。

発表者と発表概要(敬称略,50音順)

発表者:井上和哉(東京都立大学)
タイトル:クラウドソーシングサービスでのサンプリングは信頼できるのか
概要:先行研究及び発表者の経験から,クラウドソーシングサービスを利用した実験のデータの質は比較的高いと感じている。その一方で,特定の条件(男性のみ,40歳未満など)で参加者を募集した場合に,適切なサンプリングが行われているかについてはやや疑わしいと考えている。今回の発表では,クラウドソーシングサービスで適切なサンプリングが行われているかを確かめる方法や適切なサンプリングが行われている程度を調べる方法を議論したい。

発表者:岡 隆之介(三菱電機株式会社 情報技術総合研究所)
タイトル:Reading Span Testのオンライン実験の可能性検討
概要:Reading Span Test (苧坂, 2001)は、記憶の保持と操作を同時に行う課題を通して、参加者のワーキングメモリ容量を測定する課題である。本発表ではjspsychのようなオンライン実験環境でこの課題を実施する上で、発表者が苦労した点や、未解決の問題を共有する。

発表者:反田智之・河原純一郎(北海道大学)
タイトル:経験サンプリングによる時系列データの扱いについての相談
概要:経験サンプリングによる時系列データの分析について相談したい。動画の再生中に,被験者が手元のダイヤルを操作し,任意のタイミング・回数で動画の好ましさを25段階で評定する実験を計画している。評定値は毎秒記録され,ダイヤル操作が行われない間は,直前の値が記録され続ける。このとき,横軸に再生時間を,縦軸に評定値を取る線形データの最適な分析手法について相談したい。また,この手の実験のサンプルサイズ設計についてご教授願いたい。

発表者:古荘智子(名古屋大学大学院博士後期課程)
タイトル:研究法についてのモヤモヤ ―自分の知りたいことが正しく測られ,分析できているのか?―
概要:英語語彙力および語彙学習の制御焦点の違いが,語彙学習活動中のモニタリングの正確さに影響するかどうかを,先行研究(Koriat, 1997; 清水, 2009;山根, 2022; 2023)らにならい検討した。データを収集し,分析を行なう過程で,問題(モヤモヤする疑問)がいくつか生じた。適切な方法で問題を解決するために,先生方からのご助言を頂戴したく,どうかよろしくお願い申し上げます。