日本認知心理学会会員の皆さま
日本認知心理学会研究法研究部会事務局の望月と申します。1月にもご案内差し上げました研究法研究部会第3回研究会の会期が開始しましたのでお知らせいたします。
近年の機械学習の成果にはめざましいものがあり,心理学の研究にとってもさまざまな点で興味深いものがあります。たとえば,実験刺激を用意する際に,実物を撮影するのではなく,多数の事例をもとに生成したものを使うことができるようになってきました。こうした技術を用いることにより,実際には存在しない中間値の特徴を持った刺激を作ることもできます。また,人の行動を予測するのに役立つ未知の特徴やパターンを探索的に調べることにも役立つ可能性があります。さらには,機械学習のモデルから人のこころのメカニズムについて理論的に迫ることもできるかもしれません。本研究会では,機械学習に関心のある心理学者に向けて,各分野の先生方に話題提供をお願いしました。
第3回研究会「心理学者でも機械学習がしたい!」
開催形式:動画配信による非同期オンライン形式
開催日程:
動画公開期間:3月1日(火)〜31日(木)
質問受付期間:3月1日(火)〜21日(月)
回答掲示期間:3月25日(金)〜31日(木)
研究会への参加方法:
研究会は https://sites.google.com/view/jscp-research-methods/new_workshop で開催しております。ここにある動画をご覧いただくためには,まず同じページにある参加申込フォームより参加登録してください。登録いただくと自動返信で配信動画のパスワードをお送りいたしますので,そのパスワードを動画画面に入力して視聴してください。参加者の皆さまは発表動画を公開期間中何度でも視聴することができます。ご質問やコメントがある場合には,同じページの最下部にある質問フォームから受け付けております。ご質問・コメントは3月21日まで受け付け,3月25日~3月31日に同ページにその返答を掲載いたします。3月31日を研究会最終日とし,それを過ぎると動画の配信とコメントの閲覧は停止となる予定です。参加についてご不明な点がございましたら https://sites.google.com/view/jscp-research-methods/contact よりご連絡ください。
講演概要(敬称略):
講演1:児童虐待対応業務への機械学習技術の活用可能性
坂本 次郎・髙岡 昂太(国立研究開発法人産業技術総合研究所 人工知能研究センター)
本発表では、児童虐待事例データを機械学習モデルで解析し、実務応用に適用した事例を中心に、「心理学と機械学習」に関する簡易的な文献レビューの要約や、基本的な機械学習モデルの仕組みをご紹介させていただきます。皆様の研究手続きを一部補強したり、発見のための気づきを得たりすることに貢献できると嬉しく思います。
講演2:臨床コミュニケーションにおける機械学習の可能性
横山 仁史(広島大学大学院医系科学研究科 精神神経医科学)
臨床心理学的介入の多くは言語を用いることから,臨床コミュニケーションの測定,評価,形成は当該領域における主要な研究テーマといえる。これまでの研究や実践報告では,非言語的特徴量を含む膨大な情報の中で,特定要因やノイズを抽出することが難しく,実験環境と日常環境には大きな隔たりがあったが,こうした多次元かつ人による判別(弁別)が困難なデータに対する機械学習への期待は高い。当日は発表者らの研究事例をいくつか紹介し,心理学における機械学習活用の可能性について議論したい。
講演3:画像深層学習の実力とその利用
大森 宏(東京大学大学院農学生命科学研究科)
近年、AIの一つである画像深層学習が急速に進展し、そのプログラムが公開されていて誰でも利用可能になっている。この講演で、これを手にする手順を解説するとともに、画像認識能力の実際をみてみる。また、見た目の類似度で写真のMDS配置を行い数量化を行う手法に、深層学習を利用した私たちの研究事例を紹介する。
※敬称略