日本認知心理学会会員各位

日本認知心理学会研究法研究部会事務局の望月と申します。
この度,冬休み特別企画として「データ視覚化コレクション」を作成し,公開することとなりました。

近年,データ視覚化(data visualization)が改めて注目を集めています。ウェブ上にはデータ視覚化に関する情報があふれ,書籍が多数出版され,セミナーや講座なども活発に開かれています。この動きの背景にはさまざまな要因があると思われますが,心理学的研究の観点からするならば,研究慣習の問い直しを迫る再現性クライシスの問題があるでしょう。また,統計改革をはじめとする,解析技術の発展もまたデータを詳細に,そして,新たな切り口で検討することを促します。

こうした流れを受けてか,伝統的な心理学の研究・教育では見かけることのなかったようなグラフがあちこちに見られるようになりました。その発展の勢いはさながら生物進化におけるカンブリア爆発のようです。本企画では,さまざまなデータ視覚化の手法をコンパクトな例示によって紹介することを意図しています。伝統的によく用いられたグラフについては,現在の多様な視覚化手法のなかでどのような位置づけとなるのかを改めて問い返したいと思います。目新しいグラフについては,どのような視覚化の手法であり,一般的な用途・心理学における応用はどんなものであるかを考えてみたいと思います。また,グラフそのものにとどまらず,エラーバーや色彩などのアクセサリー的要素もまた視覚化手法を問い直す対象となるでしょう。本企画がデータ視覚化に対する興味と関心を呼び,改めてデータについて問い直すきっかけとなればと思います。

本企画では,心理学で多く用いられているグラフからやや馴染みの薄いグラフを紹介するとともに,それに伴う表現方法などデータ視覚化には多様な観点があることを共有したいと考えます。今回は,その方法として「カード」をコレクションするといったかたちで表現しています。

https://sites.google.com/view/jscp-research-methods/data_visualization

加えて,上記ページに掲載されたグラフやそのテクニックをRで描画するためのコードを記載したページもご用意しました。ご興味をもたれた方は,ぜひご自身のデータでも適用できるか試みてください。

https://sites.google.com/view/jscp-research-methods/data_visualization_R