日本認知心理学会の皆様

 立命館大学の和田です。7月11日に下記のようなオンライン研究会を行います。ZOOMにて行いますのでお気軽にお申し込みください。よろしくお願い申し上げます。

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趣旨
我が国の一般的な食育では栄養学や文化・伝統などの知識を身につけることを主たる目的としている。その一方、1970年代にジャック・ピュイゼ氏を中心にフランスで広められた味覚教育は、五感による個人個人の食体験を通して、食そのものに対する態度や探求心、さらに他者と自分の共通点や相違点を見出し、それを受容する全人格的な発達を促すものであった。この試みは偏食の低減や食についての表現能力を高めるなどの効果が認められており、子どもが食べ物について積極的な関心を抱くことは、食文化の継承や発展にもつながっていくと期待している。
 本シンポジウムでは味覚教育の本質的な姿を見直し、我が国における実践がどのようになされているのかを概観する。さらに我が国における味覚教育のネットワークを構築し、味覚教育の一助となりうる新たなサービスの開発に資する。

概要
シンポジウムタイトル:「味わいの発達と味覚教育」
主催:立命館大学食総合研究センター
共催: 日本電信電話株式会社(NTT)・子どものための味覚教育研究会(IDGE)
日時:2020年7月11日 13時00分~17時10分
主会場:ZOOM(定員500名・定員以上の入場はできません)
    *オンライン開催

登壇者一覧
司会者: 石田雅芳(立命館大学)
講演者: 和田有史(立命館大学)
         田尻泉(IDGE)
         石井克枝(IDGE)
         飛石希(カゴメ・ベジキッズ)
         染井順一郎(味の教室協会)
         クリスティアーノ・デ・リッカルディス(マスター・オブ・フード)
話題提供者:萬福天弓(立命館大学)

当日スケジュール:
13:00 開会挨拶:(石田)
13:10 和田 「食に関わる多感覚知覚とその発達」
13:40 ピュイゼ(田尻代理発表) 「味覚教育と子どもの食態度」
13:55 石井・田尻 「食べものの好き嫌いと味覚教育、学校教育における可能性」
14:40 休憩
14:50 飛石 「『野菜を好きになる保育園ベジ・キッズ』の取り組み事例の紹介  
~0-2歳に体験を通して野菜と共に育む環境を提供~」
15:20 染井 「2・3歳児への五感をきたえる味の教室の実践とその効果」
15:50 クリスティアン・リッカルディス(イタリア語:翻訳・石田)「チーズ・テーステ 
ィングのためのテクニックと語彙 ~子供にも評価・理解させるための方法論 ついて~」
16:20 休憩
16:30 ディスカッション
話題提供10分 萬福 「食育をテーマにした学生団体での取り組み」
17:10 閉会のあいさつ(石田)

参加登録手続き
下記のZoomウェビナーにページにアクセスいただき、指示に従いご登録ください。
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_lgb-LOYsQ22lluTBdexggA
ご登録後、ウェビナー参加に関する確認メールが届きます。

問い合わせ先
和田有史(立命館大学)
yujiwd[at]fc.ritsumei.ac.jp([at]を@に置き換えてください)

講演要旨
和田有史(立命館大学)
食に関わる多感覚知覚とその発達

 人間は五感情報を完全に独立に処理しているのではなく、それらの情報を統合して外界や食品を知覚している。ここでは講演者の研究を軸として心理学を中心とした食に関わる多感覚知覚とその知覚発達についての知見を紹介し、本シンポジウムの導入とする。


ジャック・ピュイゼ(味覚研究所・IDGE・国際醸造家連盟・国際ワインアカデミー)
*代理発表 田尻 泉(IDGE)
味覚教育と子どもの食態度

私たちは各自唯一無二の存在で、自ら学ぶようプログラムされています。文章力が書くことによって伸び、歌唱力が歌うことによって高まるように、味覚は味わうことで育まれます。味覚教育は、私たちが生まれながらに持っている五感を使って味わうことを学ぶものです。五感を使って味わうことでどのような効果が生じるのかをみていきます。また、味覚教育が子どもの食態度や好き嫌いにどのような影響をもたらすのかについてもお話ししましょう。


石井克枝(IDGE・千葉大学)・田尻泉(IDGE)
食べものの好き嫌いと味覚教育、学校教育における可能性

食べものの好き嫌いはなぜ生まれるのでしょう?子どもの好き嫌いに大人はどのように対応したらいいのでしょう?味覚教育の観点から、好き嫌いについて、その解消方法について考えます。そして、学校教育の現場に味覚教育を取り入れた実践例を紹介します。さらに、教育に味覚教育を取り入れる効果と味覚教育のもつ可能性についてお話しします。また、教育に味覚教育を取り入れる際の考え方と注意点もみていきます。


飛石希(カゴメ株式会社)
『野菜を好きになる保育園ベジ・キッズ』の取り組み事例の紹介 ~0-2歳に体験を通して野菜と共に育む環境を提供~

乳幼児期に形成された食習慣は成長後にも影響することが分かっており、乳幼児期の子供が野菜好きになることは成長後の野菜不足防止に繋がると考えられる。一方、共働き世帯の増加により時間に制約がある保護者が多く、子供の野菜嫌いなど食事に対して悩みを持つ事が多い。当社は乳幼児とその保護者に対し、2019年に野菜を好きになることをコンセプトとした保育園を開園させた。 本発表では、保育園のカリキュラム内容と効果および運営を通して得られた気づきについて、事例を基に紹介する。


染井順一郎(味の教室協会)
2・3歳児への五感をきたえる味の教室の実践とその効果

好き嫌いがピークとなる2・3歳の園児を対象とする「五感をきたえる味の教室」は6回にわたって講師2名が試食物等を持参して保育園等を訪問する講座です。2017年より開始し昨年度は京都市内8園で実施しました。先生や友達と一緒に楽しい時間を過ごした子どもたちは苦手野菜数が減り、日常の活動でも五感を意識して使うなどの好影響が確認されています。94%の保護者から継続実施を望まれるなど高い満足度を得ています。

クリスティアーノ・デ・リッカルディス(マスター・オブ・フード)
チーズ・テースティングのためのテクニックと語彙 ~子供にも評価・理解させるための方法論について~

生乳チーズと殺菌されたミルクによる工業生産チーズを比較しながら、子供にもわかる方法でそれらのチーズの味覚的・歴史的な違いを理解させるにはどのようにしたら良いか。5つの基本的なフレーバー、特にスパイシー、メタリック、電気的な感覚に加えて、弾力性、つぶつぶ感、しっとり感などのチーズの構造を表す感覚と、その表現の仕方について説明する。これらの主要な感覚を正しく理解することができれば、伝統チーズと工業用チーズ双方の「心地よさ」について、子供にも大人にも伝達することが可能になる。
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