日本認知心理学会会員各位

この度,日本認知心理学会の新たな研究部会として研究法研究部会(代表:井関 龍太[大正大学])を設立いたしました。本研究部会では,認知心理学の研究に資する統計手法,刺激作成や実験法などのさまざまな研究方法を学ぶとともに,それらを広く紹介・吟味することを通して,日本の心理学研究の発展に寄与することを目的とした活動を行なっていきます。

具体的に,本研究部会では研究会およびワークショップの開催(年2回程度)と,メーリングリスト等による情報交換やディスカッションを予定しております。また,各種情報は以下の研究部会ウェブサイトでも発信しております。

https://sites.google.com/view/jscp-reserch-methods

そして本研究部会の第1回となる研究会を2019年3月3日(日)に開催いたします。
第1回の研究会では多次元尺度構成法(MDS)について取り上げ,2名の発表者に手法や適用事例について紹介いただきます。当該手法を既に利用している方だけでなく,新たにこの手法を学ぼうという方も広く歓迎いたします。また,日本認知心理学会の会員でない方もご参加いただけます。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

なお,当日の発表資料の準備等のため,参加をご希望される方は以下のウェブサイト応募フォームからご登録いただければ幸いです。

https://sites.google.com/view/jscp-reserch-methods/workshop

【第1回研究会】
タイトル:MDS,使ってる?――心理学研究における応用可能性――
日時:2019年 3月3日(日)13:00~17:00
会場:日本大学文理学部3号館5F  3501教室
https://www.chs.nihon-u.ac.jp/access/
参加:https://sites.google.com/view/jscp-reserch-methods/workshopの応募フォームよりご登録をお願いいたします

発表概要

「多次元尺度構成法,その基礎と広がり」
発表者:小杉 考司(専修大学)

多次元尺度構成法(Multi-dimensional scaling, 以下MDS)は一言で言えば「距離行列から地図を作る」技術である。このように仮定の少ないモデルだからこそ,様々な応用が可能である。今回の発表では,多次元尺度構成法の基本的考え方から,その応用として
    1.個人差を表現する方法(INDSCAL)
    2.地図に情報を描き加える方法(PREFMAP, Abelson Mappingなど)
    3.非対称関係に拡張する方法(HFM, Asymmetric von Mises Scalingなど)
などを紹介したい。

「自由分類課題によって得られた類似度データの分析:MDSとDISTATIS」
発表者:井関 龍太(大正大学)

自由分類課題は,知覚・感覚判断や感性評価に広く適用でき,多数の類似度データを簡便に集めることができる方法である。その一方で,この課題を通して得られたデータから体系的な結論を導くことは必ずしも簡単でないと思われる。本発表では,MDSとその拡張版とみなせるDISTATISによる分析方法を紹介する。このことを通して自由分類課題による研究および感性評価の有用性と妥当性について議論することが目的である。

なお,以下の文献が中心となる参考文献であり,RのDistatisRパッケージによる分析の実行法についても紹介する予定である。
Chollet, S., Valentin, D., & Abdi, H. (2014). Free sorting task. In P. V. Tomasco & G. Ares (Eds.), Novel techniques in sensory characterization and consumer profiling. Boca Raton: Taylor and Francis. pp. 207-227.