「認知科学」特集論文募集のお知らせです。

特集タイトル「プロジェクション科学」
掲載予定巻号:2019年3月号(Vol.26, No.1)
担当編集者:鈴木宏昭(青山学院大学),小野哲雄(北海道大学),米田英嗣(京都大学)

●「プロジェクション科学」企画趣旨

人間は内的に構成された表象(内部モデル)を,プロジェクション(=投射)という
心の働きにより,世界の中に位置づける.これによって,私たちの認識する世界は,
動物や機械のそれとは全く異なる,豊かな意味に彩られたProjected Realityとなる.
そして,このProjected Realityとしての世界と相互作用をすることで,人間固有の
文化,社会,制度を築き上げてきた.

これまでの実験やモデルをベースにした認知研究は,刺激の受容から内部モデルの構築
について,多くの知見を積み重ねてきた.しかしながら,構築された内部モデルが
どのように世界と対応づくのかについての研究はそれほど盛んではない.
一方,デザイン,アートなどは,それ自体がある特殊な形式のプロジェクション
であり,それらについて多くの研究が当学会内でなされてきた.
しかしながら,それらを生み出す心のメカニズムについて,実験やモデルをベース
にした認知の理論との結びつきは強いものではない.

プロジェクション科学は,多様な学問分野の知見を統合することで,こうした現状を
打開し,心の研究の新しいステージを作り出すことを目的としている.
本特集は,プロジェクションと密接な関わりを持つ,論文を募集し,掲載することで,
この新しい科学の輪郭と拡がりを明確にすることを目的としている.

プロジェクションが関与する現象は多岐にわたる.
実験を通して報告されてきた知覚現象(空間的定位,ラバーハンド錯覚,幽体離脱),
臨床事例を通して報告されてきた幻覚,
VR/AR技術が生み出す没入感,臨場感,
芸術作品への没入感,
アイディア,思想を実態化するアート,デザイン,
特定のモノへの愛着,執着,
霊,信仰心,
などは,プロジェクションの働きが端的に表れている現象と言える.

本特集では,以上の様々な現象に関わる要因の特定,計算メカニズム,神経基盤,
その発生・発達という認知科学的な研究,これらを増幅,抑制する人工物の開発・
評価研究,プロジェクションの社会的な広がりを扱う社会学的研究を募集し,
プロジェクション科学の輪郭を明らかにするとともに,その基盤を作り出すことを
目的としている.

●応募方法
投稿資格:投稿原稿の著者のうち少なくとも一人は日本認知科学会の会員であるか,
または入会手続き中でなければならない(詳しくは「認知科学」の投稿規定を参照).
本特集では,事前エントリー方式で原稿を募集する.執筆を希望する場合は,
事前エントリーをすませた上,期日までに論文原稿を送付する必要がある.
事前エントリーは,2018年6月18日(月)までに,論文タイトル,論文種別
(研究論文,展望論文,ショートノート),著者氏名・所属・連絡先(住所,
電話番号,e-mailアドレス),1000字程度のアブストラクト,キーワード(5個程度)
を電子メールにて提出する.投稿する論文は,「認知科学」の投稿規定,執筆規定に
したがうものとする.

関連するキーワード
知覚(奥行き,定位)
多感覚知覚(による錯覚)
身体
自己
環境
VR/AR/MR
身体拡張・身体メディア
臨床(幻視,幻聴,幽体離脱)
エンタテインメント
哲学(心脳問題)
デザイン・芸術
フェティシズム(宗教,商品,性)

●提出先
事前エントリー,論文提出ともに,以下のアドレスに提出するものとする.
なお,提出後,一週間以内に受領確認メールを著者に送付する.
projection[at]ml.hokudai.ac.jp([at]を@に変更してください。)

●Important date
2018年6月18日(月)事前エントリー締切
2018年7月20日(金)論文投稿締切
2018年8月24日(金)第一回査読結果返送
2018年9月28日(金)第二回論文提出締切
2018年10月29日(月)第二回査読結果返送
2018年12月14日(金)最終稿提出締切
2019年3月1日(金)26巻1号掲載