特集タイトル:判断と意思決定の認知科学
掲載予定巻号:第22巻3号(2015年9月発行)
担当編集者:都築誉史(立教大学),松田憲(山口大学)
●特集号で扱う論文
広い意味での選択,判断,意思決定と関連した実験心理学的研究,発達研究,
神経科学的研究,社会心理学的研究,動物行動研究,人工知能研究,シミュレー
ション,理論的研究,応用的・実践的研究などを幅広く対象とする.日本語また
は英語で書かれた研究論文,展望論文,ショートノートを募集する.
選択,判断,意思決定というテーマは,ほぼすべての認知活動に内在する極め
て基本的なものである.また,認知科学では斬新性とともに,異分野対話性が重
視される.例えば,問題解決,学習科学,言語科学,カテゴリー学習,記憶と
いった分野でも,選択や判断は重要なトピックスである.さまざまな分野からの
投稿を広く歓迎する.
近年,判断・意思決定スキルが,幼児期,青年期,成人期,中高年期とライフ
スパンを通してどのように変化するかについて,活発に研究が進められている.
選択スキルの学習,バイアス矯正,リスク認知,道徳判断,意思決定スタイル,
さまざまな動物種を対象とした実験的行動分析といった分野も,本特集と密接に
関係する.一方,集団意思決定という社会・組織心理学における主要な研究領域
も,本特集と関わりが深い.
さらに,選択,判断,意思決定に関する多様な計算論的モデルが提案されてき
た.人工的なエージェントによる選択,システムによる人間のデシジョン・エイ
ドなども,本特集と強く関連している.
●企画趣旨
本特集は,選択,判断,意思決定と関連した研究の現状を把握し,さらなる学
際的研究を促進するための企画である.2014年度Cognitive
Science Society年次大会プログラムによれば,意思決定に関する6つの口頭発表
セッションがあり,認知科学における意思決定研究の広がりを確認できる.
近年,海外の国際学会や英文学術雑誌では,判断と意思決定に関する研究発表
が非常に活発であり,様々な広がりを見せている.これに対し,我が国ではこの
分野の研究発表が多いとは言えない.本特集を契機にして,我が国における判断
と意思決定に関する認知研究の,多様化と学際化を促進したい.
Kahnemanのノーベル経済学賞受賞(2002)は,人間の判断と意思決定に関する
認知研究が,行動経済学をはじめとして,学際的に大きな社会的影響を及ぼして
きたことを示している.最近では,Gigerenzer(CogSci 2012キーノートスピー
カー)らに代表される進化心理学的アプローチや,脳イメージングによる神経心
理学的な知見(e.g. 認知系と情動系の相互作用)などが,研究の発展に大きく
寄与している.
このように判断と意思決定研究は,非常に大きな学際的広がりをもち,認知科
学が積極的に取り組むべき主要なテーマの1つであることは疑いの余地がない.
本特集号では上記の背景を受け,我が国の判断と意思決定研究が学際的にさらに
発展することを目ざし,多様な分野から広く論文を募集する.
● 投稿資格
投稿原稿の著者のうち少なくとも一人は日本認知科学会の会員であるか,また
は入会手続き中でなければならない(詳しくは,『認知科学』の投稿規程を参照).
● 応募方法
本特集では,事前エントリー方式で原稿を募集する.執筆を希望する場合は,
事前エントリーをすませた上,期日までに論文原稿を送付する必要がある.
事前エントリー:2014年11月1日(土)までに,論文タイトル,論文種別(研究
論文,展望論文,ショートノート),著者氏名・所属・連絡先(住所,電話番
号,e-mailアドレス),1000字程度のアブストラクト,キーワード(5個程度)
を電子メ-ルにて提出する.件名は「認知科学22-3事前エントリー」とすること.
論文提出:事前エントリーを済ませた著者は,2015年1月10日までに本論文を電
子メールにて提出する.件名は「認知科学22-3投稿」とする.投稿する論文は,
『認知科学』の投稿規程,執筆規程にしたがうものとする.
● 提出先
事前エントリー,論文提出ともに,以下のアドレスに提出するものとする.
jcss.2015.jdm[at]gmail.com
なお,提出後数日以内に,受領確認のメールを著者に送付する.
●スケジュール
おおむね下記のスケジュールを予定している.ただし,諸事情により変更の可
能性がある.
2014年11月 1日(土)事前エントリー締め切り
2015年1月10日(土)論文投稿締め切り
2015年2月28日(土)査読結果の返送
2015年3月30日(月)修正論文の提出締め切り
2015年4月30日(木)再査読結果の返送(採否決定を予定)
2015年5月30日(土)最終稿提出の締め切り
2015年9月 1日(火)『認知科学』第22巻3号掲載