日本学士院「脳と心の宇宙を探る」研究会では、脳という小宇宙がどのようにして創発的な心を生み出すのかという問いを、分子レベルからシステム脳科学、社会脳、さらには経済行動に至るまで、多様な視点から探究してきました。自然科学と人文社会科学を横断する学際的な対話を重ね、人間という未知なる存在への理解を深めることを目指してきました。近年では、メタ認知や生成AIにも関心を広げ、とりわけ生成AIが「知性とは何か」という根源的な問いを我々に投げかけている点に注目しています。ChatGPTなどの技術的進展が人間の心に与える影響について、研究会でも積極的に議論されてきました。
このような背景のもと、本年夏に「AIと人のこころの近未来」をテーマとしたシンポジウムを下記のように企画しました。基調講演には、AIの数理神経科学における世界的権威であり、ニューラルネットワークや機械学習の理論構築で知られる甘利俊一氏(学士院会員)、そしてAIと人間の知性を探究し「東ロボくん」で広く知られる新井紀子氏(国立情報学研究所社会共有知研究センター長)をお招きします。さらに、研究会メンバーであり学士院会員でもある岩井克人氏(経済学)、宮下保司氏(生理学)、苧阪直行(心理学)が、AIと心をめぐる課題について多角的に論じる予定です。
『AIと人のこころの近未来』
日時:2025年8月28日(木)午後1:00-5:30
場所:日本学士院総会議場/Zoomウェビナー
主催:日本学士院「脳と心の宇宙を探る」研究会
1:00 本シンポジウムについて 苧阪直行
1:10 甘利俊一会員(数理工学)
「AIと人間―ーこれからの文明社会はどうなるのか?」
1:50 新井紀子氏(国立情報学研究所・ 社会共有知研究センター長)
「近似的解決と真の解決」
2:30 ここまでの質疑応答
休憩
3:00岩井克人会員(経済学)
「ChatGPTの後、人間には何が残るのか?」
宮下保司会員(生理学)
「内省(Introspection)は脳のどこからどのようにして生まれてくるのか?―そしてAIでは?」
苧阪直行会員(心理学)
「AIは適度に忘れることができるか?―LLMにメタコグニションは必要か?」
4:30 総合討論
参加無料
参加申し込みフォーム: https://forms.gle/UPmNEKkqBr5scj4b6
開催事務局: 公益財団法人稲盛財団 和田氏
n.wada+sympo0828[at]inamori-f.org([at]を@に変更してください。)
代表者 日本学士院「脳と心の宇宙を探る」研究会 苧阪直行
日本学士院会員(心理学・認知科学)
京都大学名誉教授
日本ワーキングメモリ学会会長
概要、チラシは下記にあります。
「脳と心の宇宙を探る」研究会主催シンポジウム「AIと人のこころの近未来」のお知らせ