Authors:Yohtaro Takano & Eiko Osaka (高野陽太郎・纓坂英子)

Title:“Attention, please” to situation: Replies to commentaries by Uleman,
Matsumoto, Hamamura and Takemura, and Vignoles

Journal:Asian Journal of Social Psychology

doi:10.1111/ajsp.12347

論文URL:https://doi.org/10.1111/ajsp.12347

Abstract:Takano and Osaka (2018) tested the validity of the common view that
Japanese are more collectivistic than Americans by reviewing empirical
studies published mainly during recent two decades, and found that this
common view was not supported by most of the reviewed studies. All the
four commentaries on this review of ours shared with us the basic judgment
that the common view is untenable. In this reply, we present arguments to
resolve some doubts cast on our review, and then argue that situation is
a key concept to investigate critical issues related to individualism and
collectivism such as their dimensionality and distinction between societal
level and individual level cultural difference.

著者のContact 先のemail:yohtaro.takano[at]gmail.com([at] を@に置き換えてください)

日本語によるコメント:この論文は、私たちの展望論文
(Takano & Osaka, 2018, https://doi.org/10.1111/ajsp.12322
に寄せられた4編の論評論文に対する回答論文です。日本人論では、長らく「日本人は集団主義
的、アメリカ人は個人主義的」と言われてきました。20年前、私たちは日本人とアメリカ人を比
較した実証的研究を探索し、見つかった15件の研究がこの通説を支持していないことを報告しま
した(Takano & Osaka, 1999, https://doi.org/doi:10.1111/1467-839X.00043 )。
新しい展望論文では、その後に発表された研究を中心に、新たに20件の実証的研究を調べ、それら
の研究が全体としてはこの通説を支持していないという同じ結論に至りました。この展望論文に対
する4編の論評論文は、いずれも、「通説は妥当ではない」という点で、私たちと意見を同じくし
ていました。通説が何十年ものあいだ世界中で信奉されてきたことを思えば、これは驚くべきこと
です。この回答論文では、集団主義・個人主義の問題を考える際には「状況」を考慮に入れること
が重要であることを指摘し、「状況」との関連で、「集団主義・個人主義は1次元的な概念か多次
元的な概念か」、「集団レベルでの文化差(⇔個人レベルでの文化差)を測定することはできる
か」、「文化間での有意差を一律に文化差と捉えてよいか」等の理論的な問題を検討しました。