2 研究部会: 2016年11月アーカイブ

ディスコース心理学研究部会は、12月3日(土)に定例研究会を開催いたします。研究会後には,懇親会も予定しております(参加希望は当日受け付けます)。ディスコースあるいは言語研究について関心を持つ皆様と,楽しく有意義な議論ができれば幸いです。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

【第21回定例研究会】
・ 日時 12月3日(土)13:30~17:00
・ 場所 法政大学 市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー11階
          BT1100番教室(下記会場案内をご参照下さい。)
・ 参加 当日用意する発表資料の部数を把握するために,参加ご希望の方は
 『11月30日(水)13時』までにご連絡頂けると助かります。
   問い合わせ,申込み先:
         電気通信大学 猪原敬介
         E-mail: kei.inohara@gmail.com
・ プログラム
    1)研究発表(口頭発表,質疑含め一人60分)
      ・根本勇也(法政大学)
      ・岡隆之介(京都大学)
      ・猪原敬介(電気通信大学・日本学術振興会)
    2)懇親会(自由参加)
  参加費:研究会は無料 懇親会は実費あるいは会費制

【研究発表】
★根本 勇也(法政大学大学院人文科学研究科 M2)
<タイトル>
 対人ストレスイベントに対する神の視点による筆記開示の効果の検討
<アブストラクト>
 トラウマティックな体験とその時の感情を筆記することによって,筆記者には長期的な観点から精神的及び身体的健康の改善が期待できる(Pennebaker,& Beall,1986)。これは筆記開示と呼ばれている。筆記開示がこのような効果を持つ理由の1つとして,認知的再評価の促進が挙げられている(Smyth,Nazarian,Oikawa,& Oikawa,2007)。
 本研究では対人ストレスイベントにおける物語化した筆記開示について検討する。物語化した筆記開示についてはSmyth,True,& Joy(2001) が研究を行っている。しかしながら,断片的な書きとの比較にとどまっており,物語化する方法について詳細な定義はなされていない。また,物語においてどの視点から筆記を行うかについても検討されていない。よって,本研究では対人ストレスイベントに対する物語化した筆記開示を,筆記者の視点を変える方法によって検討する。具体的には,全ての登場人物の感情や考えを書く神の視点(甘露,2004)による筆記と,自分の感情や考えを書く自分視点による筆記,イベントと無関係な筆記を行う統制群を設け,感情と認知的再評価の得点について比較する。仮説では,神の視点筆記群,自分視点筆記群,統制群の順にネガティブ感情が低下し,ポジティブ感情が上昇し,認知的再評価が促進されると考える。

★岡 隆之介(京都大学大学院教育学研究科 D3)
<タイトル>
 比喩表現は行動よりも気持ちを簡単に説明できるか
<アブストラクト>
 比喩表現とは,あるものをそれと類似する別のものにたとえて伝える表現である。比喩表現は,感情的体験(例:過去の最も嬉しかった体験)について説明する際に,そのときに感じていた気持ちを説明する場合に,そのときにとっていた行動を説明する場合よりも,より多く用いられることが示されてきた(Williams-Whitney et al., 1992)。ところで,なぜ気持ちを説明する場合に,行動を説明する場合よりも比喩表現が多く用いられるのかについては,先行研究からは十分に説明されていなかった。
 この現象の説明として,比喩表現を産出する際の困難度が影響している可能性を考えた。すなわち,比喩表現を用いる場合,気持ちを説明する方が行動を説明するよりも困難度が低いために,より多く用いられるという説明である。
 本発表では比喩表現による説明の困難度が,気持ちを説明する場合よりも行動を説明する場合に低いという仮説を検討した実験を報告する。参加者は,過去の感情的体験を想起し,その感情的体験を十分に説明する表現を1つ作成することが求められた。実験操作として,説明する対象(行動,気持ち)と,表現の種類(字義表現,比喩表現)が操作された。表現の想起にかかった時間を説明の困難度の指標とした。

★猪原 敬介(日本学術振興会 特別研究員 PD(電気通信大学))
<タイトル>
 読書量推定指標としての学校図書館図書貸出数についての検討
<アブストラクト>
 その人がどのくらい本を読んできたか,という「読書量」を正確に知ることは難しい。そのため,質問紙による「読書時間質問」や,本のタイトル を多く正確に知っている程度を測る「タイトル再認テスト」(Cunningham & Stanovich, 1990) が提案されてきた。
 上記の推定指標が捉えられない読書量の側面を捉える可能性のある指標として,学校図書館における図書貸出数がある。小学校を対象とした発表者ら(猪原・上田・塩谷・小山内, 2015)の過去の検討で,図書貸出数は上記の読書量推定指標や言語力指標と正の相関を示すことは確認されたが,図書貸出数は単純な合計冊数でのみ議論されていた。
 そこで本研究では,ある公立小中一貫学校の2~8年生の図書貸出データについて,複数の観点から集計し,上記の読書量推定指標と言語力指標との関係について検討した。具体的には,図書貸出数の集計法(同じ本を複数回借りたときに,重複カウントするか否か),何年前の貸出データか(前年度~6年度前まで),ジャンル(日本十進法分類),ページ数(何ページ以上のものだけカウントするか)といった観点を用いた。これらの結果から, 図書貸出数がどういった性質を持つ読書量推定指標なのかについて議論する。

会場案内:法政大学市ヶ谷キャンパス、ボアソナードタワー
ボアソナードタワーは,市ヶ谷キャンパス内の26階建てのビルです。
エレベーターはオレンジ(低層階用)と青(高層階用)の2種類あります。
どちらもご利用できますが,青いエレベータの方が便利です。
そのまま直接,11階のBT1100教室までお越しください。
守衛所等で受け付けなどは必要ありません。
なお,緊急の連絡先は,03-3264-9382(福田由紀研究室直通),
03-3264-5024(実験室付属の準備室)です。
http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/access.html
http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/campusmap.html

研究会HP:https://sites.google.com/site/discoursestudy/

日本認知心理学会安全心理学部会の第37回研究会を開催致します。どうぞご参加下さい(事前登録等不要です)。

日時:11/5(土) 15:00-17:00
会場:大阪大学人間科学部東館303教室
内容:講演とディスカッション
講演:北折 充隆 先生
(金城学院大学人間科学部・教授)
http://www.asahi-net.or.jp/~vu5m-ktor/index.htm
題目:歩行者の信号無視行動を規定する因子について
概要:赤信号で渡ってはいけないというルールを知らない人はいません。それでも、街中で狭い道幅だと、ついつい渡ってしまう歩行者をよく見かけます。車では絶対やらないことを何故やってしまうのか。これまでの研究成果を元に、規定因をお話ししたいと思います。

※Ustreamでの映像配信を行います。視聴方法は以下の通りです。

  1. 以下のアドレスにアクセスする。
    http://www.ustream.tv/channel/jscp-safety
  2. パスワードを聞かれたら以下入力して送信ボタンを押す。
    Jscpsafety

※ソーシャルストリームでの参加も歓迎いたします。

なお、終了後、懇親会を行う予定です。

日本認知心理学会安全心理学研究部会
jscp-safety@cogpsy.jp
https://www.facebook.com/jjcpsafety
部会長:臼井伸之介(大阪大学)
事務局:篠原一光(大阪大学)

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