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2005年12月03日

 ■ 日本基礎心理学会第24回大会 招待講演と2つのシンポジウム

日本基礎心理学会第24回大会

招待講演と2つのシンポジウム

下記の通り,日本基礎心理学会大会にて,招待講演と2つのシンポジウムが開催されますので,ご案内させていただきます.

招待講演とシンポジウムへの参加は自由で,無料です.会場は,JR池袋駅から徒歩10分の立教大学・池袋キャンパスです.関心を持たれた方は,ぜひご出席くださいますようお願いいたします.

日本基礎心理学会第24回大会

会期:2005年12月3日(土),4日(日)

会場:立教大学池袋キャンパス

特別講演・招待講演
第1日目 16:40~18:00 9号館大教室 9000
From Fragments to Objects: Mechanisms of Visual Integration
講演者:Dr. Pawan Sinha (Department of Brain and Cognitive Sciences, MIT)
企画:長田 佳久 (立教大学)
司会:阿久津 洋巳 (岩手大学)
企画の趣旨:実験心理学や認知神経科学において認知に関わる脳の領野を特定する研究の進展は目覚ましいが,それに比べると認知がどのように行われるかに関する研究は必ずしも多くはない。Sinha博士の研究室ではこの問題を精力的に取り上げて多くの成果を挙げてきた。特に顔のように重要な情報がどのように脳内処理されているかを実験的に検討している。また,博士の研究は視覚経験によって対象の表象がどのように形成され学習されるかに焦点を当ててきたが,計算論的モデルを用いることによって大きな成功をおさめ,国際的に高い評価を得ている。今回の講演では,正常ではない視覚発達をした子供を実験参加者にした研究を基盤として,初期情報が統合されるために高次の学習が果たしている役割について語られる予定である。なお,この招待講演は東京大学21世紀COEプログラム「心とことば-進化認知科学的展開」ならびに立教大学アミューズメント・リサーチ・センター(RARC)と共催とし,非会員の方々の参加も可能である(無料)。本講演に通訳は付けないが,講演の日本語要約をあらかじめ配布し,適宜簡単な要約を行う予定である。
講演の要旨:Learning to integrate information is a key task a child's brain has to perform during the normal developmental course. In essence, this developmental process transforms the sensorium from an amorphous collection of primitive attributes, to one where these attributes are integrated into cliques corresponding to distinct objects. In this talk, I shall describe our work on a model of visual integration, motivated in part by experimental studies of individuals with abnormal developmental profiles.


シンポジウム1
第1日目 14:30~16:30 9号館大教室 9000
「因果知覚に関する研究の新たな展開--ヒトと動物の比較--」
話題提供者:小松 英海 (慶應義塾大学)
      中村 浩 (北星学園大学)
      松野 響 (京都大学霊長類研究所)
      長坂 泰勇 (The University of Iowa, Department of Psychology)
指定討論者:辻 敬一郎 (中京大学)
企画・司会:長田 佳久 (立教大学)
企画の趣旨:因果知覚は哲学と心理学において論じられてきた認識に関する重要な研究課題であり,心理学者の高い関心を引きつけてきた。ミショット以来,因果知覚の研究は少数の研究者によって支えられてきたが,90年代に入って新たな研究が始まった。その1つはイェール大学のショールを中心とするグループが行ってきた研究である。彼らはミショットの生涯にわたる中心的なテーマとなった因果性,現象的永続性, 実在性の問題をミッド・レベル・ビジョンにおける表象‐オブジェクト・ファイル‐の枠組みの中に位置づけようとして,低レベルの感覚情報と高レベルの認知情報を仲介する表象の構造を模索している。また,因果知覚は顔の知覚や音声言語の知覚と同じように高次な特性を持ちながら自動的で刺激駆動的な特性を併せ持つ現象であり,他の視知覚と深い関係があると考えている。彼らの研究はかなりの広がりを見せはじめている。他方,日本では若手研究者による動物の因果知覚に関係する実験的研究が成功しはじめ,人間の認知研究のデータとの比較が可能になりつつある。因果知覚をめぐる人間と動物に関する基礎研究を共通の場で比較し議論することがこのシンポジウムの目的である。小松氏には,因果知覚を含めた「関係性の知覚」を知覚体制化の枠組みから論じていただく。中村氏には,ヒトの幼児期における因果知覚に対するいくつかの観点から話題提供をお願いしている。松野氏にはチンパンジーにおける2つの運動物体の衝突の知覚について最新の研究を紹介していただく。長坂氏には系統発生的に下位にあるリスザルとヒトの実験結果を比較した2運動物体の衝突の知覚に関する最新の研究成果の紹介をお願いした。指定討論者にはヒト・動物の知覚,認知のいずれの領域にも高い見識を持つ辻氏にご依頼した。因果知覚に関するヒトと動物の比較研究のシンポジウムはおそらく初めての試みである。話題提供者を含め参加者の皆様には,因果知覚研究の新しい方向づけを探る活発な議論をお願いしたい。


シンポジウム2
第2日目 14:20~16:00 9号館大教室 9000
「人間の記憶に関する学際的パースペクティブ」
話題提供者:齊藤 智 (京都大学)
      仁木 和久 (産業技術総合研究所)
      加藤 元一郎 (慶應義塾大学)
指定討論者:太田 信夫 (東京福祉大学)
企画・司会:都築 誉史 (立教大学)
企画の趣旨:心理学の基礎的な研究領域の中で,記憶の問題は最も論文数が多いテーマの1つである。人間の記憶に関しては,心理学以外でも,神経科学や計算機科学において精力的に研究が進められてきた。21世紀を「脳の世紀」と位置づける動きがあり,神経科学と計算機科学は,従来から共同研究を進めてきている。我が国においても,心理学を含めた三者の共同研究が,徐々に広がりを見せ始めている状況にあると言えよう。こうした学際的な研究を行うには,実験装置をはじめとして多くの困難が伴うが,心理学研究者も自分の研究テーマに関して,学際的な視野を持つことは不可欠であろう。本シンポジウムでは,認知心理学(実験心理学),脳イメージング研究(脳神経情報研究),臨床神経心理学(精神医学)といった異なる立場から,第一線の研究者の方々に話題提供をしていただき,記憶を複数のアプローチによって検討することを通して,将来の有意義な研究につながる手がかりを探ることを目指したい。



詳細: 上記内容の詳細,交通アクセス,会場案内等は下記大会HomePageをご参照ください.
 http://www.rikkyo.ne.jp/grp/kiso2005/index.htm


投稿者 office : 2005年12月03日 19:40