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第4回大会

第4回日本認知心理学会優秀発表賞の選考結果のお知らせ

 日本認知心理学会優秀発表賞規定にもとづき,選考委員会において審議を重ねた結果,推薦発表総数44件の中から,以下の5件の発表に,規定に定められた評価部門の優秀発表賞を授与することに決定いたしました.受賞者には,第5回大会の総会にて,優秀発表賞を授与いたします.会員の皆様におかれましては,今後とも日本認知心理学会大会におきまして数多くの良い発表をなされることをお願いいたします.

2006年 12月 1日
日本認知心理学会優秀発表賞選考委員会委員長
太田 信夫

新規性評価部門
受賞者(所属):
後藤靖宏(北星学園大学文学部心理応用コミュニケーション学科)
発 表 題 目:
「人数の見積もりの目撃証言」
選 考 理 由:
従来の目撃証言の研究においては,数量的な従属変数を用いる場合には,車の速度のような連続量が使用されてきた.発表者は,「原理的には正確に見積もることの可能な離散量についても同様の事後情報効果が生じるのだろうか」という問題設定をおこなった.面白い着眼で,連続量の場合と異なる結果が得られていれば,非常に興味深い研究になったと思われるが,離散量の場合にも同様の効果が生じることが確認できただけでも,有意義な知見であると言えよう.また,映画の一場面を利用することによって,生態学的妥当性の問題をうまくクリアしている点も評価に値する.

技術性評価部門
受賞者(所属):
小野史典・北澤茂*(順天堂大学/日本学術振興会特別研究員・順天堂大学)
発 表 題 目:
「空白時間の知覚に与える視覚的大きさの影響」
選 考 理 由:
本研究の発表者は,古典的とも言える時間知覚の研究を,新たな視点から実証的に検討し続けているが,今回,発表された実験もその一つである.対象の提示時間は,対象が大きいと長く知覚されることが知られている.そうした時間知覚と視対象の大きさとの関係が,対象の提示時間のみならず,対象が提示されていない空白時間の知覚にもあてはまること,ならびに,この空白時間の知覚に影響を与えるのは,空白時間の直前に提示される対象ではなく,直後に提示される対象であることを,シンプルな実験によって明らかにし,シンプルな考察によって,時間知覚の判断過程というアプローチの難しい問題に議論の糸口を与えており,今後も一連の知見の集積が楽しみである.発表も好感の持てるものであった.

社会的貢献度評価部門
受賞者(所属):
田中章浩1・坂本修一2*・鈴木陽一2*(1東京大学大学院人文社会系研究科/文学部,2東北大学電気通信研究所/大学院情報科学研究科)
発 表 題 目:
「音声言語理解に発達速度とポーズ長が及ぼす影響」
選 考 理 由:
加齢に伴う知覚・認知機能の低下の要因として,処理速度の低下によるとする考え方があるが,本研究はそのような立場から,音声理解を促進する方法を検討したものである.音声言語理解において,このような加齢による処理速度の低下を補足するものとして,音声提示の速度を遅くするという方法が考えられる.しかし,全体の音声の時間長をそろえるようとすると,ポーズを短くしなければならない.つまり,音声フレーズの伸長という正の効果とポーズの短縮という負の効果のかねあいが重要な問題となる.この点について検討した本研究は,音声フレーズは微量の伸長で十分促進効果があり,ポーズ長は200msecの場合にもっとも理解度が高いことを明らかにした.このような知見は,加齢による認知機能の低下をどのように補償するシステムを作るかといった観点から,興味深い知見であり,高く評価されるものである.

発表力評価部門
受賞者(所属):
山田祐樹・三浦佳世(九州大学大学院人間環境学府/日本学術振興会特別研究員・九州大学大学院人間環境学研究院)
発 表 題 目:
「運動物体の通過時間予測と素朴物理学―摩擦が生じると遅くなる―」
選 考 理 由:
本研究は運動現象を扱っているが,発表ポスターでは,静止画で表示されていたにもかかわらず,刺激の時間的推移をわかりやすく解説し,短時間の説明で,3つの実験内容を的確に伝えていた発表力は,優れたものと評価できる.その結果,聴く人は研究内容を理解するための質問に終始することなく,研究の意義や取り上げた要因(表象的重力や摩擦など)について,発表者との間で緻密な議論を発展させることができた.それは,発表にあたって,テーマとした「素朴物理学」についての手短でわかりやすい説明,実験に関しては提示した刺激と結果として得られたデータとのわかりやすい対応,それに総合考察と,堅実で明確な組み立てがなされていたためと評価できる.これらがうまく構成されていたので,短い時間にもかかわらず,3つの実験の内容と相互関係が良く理解できた発表であった.

総合性評価部門
受賞者(所属):
河原純一郎1・田中徹2*・鍋田智広1・井口清2*(1広島大学大学院教育学研究科,2広島県警察本部交通部交通企画課)
発 表 題 目:
「道路交通場面における注意範囲のメタ認知とその年齢間比較」
選 考 理 由:
本研究は,認知心理学の注意に関する基礎的な知見を実際の日常場面である自動車の運転状況に応用した研究であり,交通安全教育で受講者にわかりやすく説明するための独創的な手法を考案されている.注意の範囲を実験的に調べるために,被験者に自分が注意を向けられると思う範囲をシート上に描かせるという手法をとっており,幅広い年齢層の被験者に対して実施できる工夫された注意スパン抽出法である.さらに,その描いた範囲を年齢層ごとに重ね合わせることによって,年齢による注意の範囲の違いを視覚的にわかりやすく提示されている.単純な方法ではあるが,それだけに説得力も実証性も高い.警察の交通部との協力で行われた研究であり,社会的貢献度も高く,総合的に優れた研究だと評価できる.

 

(* 規定により,非会員の方は受賞の対象とはなりません.)

 


 
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