社団法人日本心理学会 社会認識研究分科会(社会認識研)第1回研究会のご案内
■ 社団法人日本心理学会 社会認識研究分科会(社会認識研)第1回研究会のご案内
「社会認識研」は,政治制度や法,経済制度など,広く社会の仕組みに関する理
解の発達,およびそれらに関する教育実践に関心のある研究者・教育者が研究交
流する場を提供し,社会認識の発達について理解を深めることを目的した研究会
です。年2,3回の研究会と年1回の学会でのシンポジウムを予定しています。研
究会では,講師の先生に,最新の研究成果を紹介して頂いています。どなたでも
ご自由に参加できます。院生の方の参加も歓迎しています。参加費は無料です。
会場準備の都合上,ご参加いただける場合,外山紀子(津田塾大学)
(toyama@tsuda.ac.jp)まで,事前に連絡をお願いします。
■ 日時:2010年11月13日(土) 13時―15時
■ 場所:津田塾大学千駄ヶ谷キャンパス本館1階,研究所合同教室
(JR総武線 千駄ヶ谷駅駅前)http://osc.tsuda.ac.jp/access.html
■ 講演者:高橋登先生(大阪教育大学学校教育講座 教授)
<講演者プロフィール>
京都大学大学院教育学研究科修士課程修了 、博士(教育学)
主要業績 Takahashi, N. (2003) Learning of disabled children in Japan:
Simultaneous participation in different activity systems. Mind, Culture,
and Activity, 10, 311-332. 高橋 登 (2006) 読み書き能力の文化的発達の理
論に向けて. 心理学評論, 49, 197-210. Yamamoto, T & Takahashi, N. (2007)
Money as a cultural tool mediating personal relationships: Child
development of exchange and possession. Cambridge Handbook of
Socio-Cultural Psychology. New York: Cambridge University Press. ほか
■テーマ:文化的道具としてのお金の使い方の習得過程:対話的文化研究としての日中韓越お小遣い研究
<講演概要>
お金は,市場経済社会においては,交換価値の等しいいかなるものと
も交換可能であり,もの同士の交換を制度的に可能にするニュートラルな物差し
としての役割を担っていると通常はみなされている。けれども,経済活動を最広
義に定義し,有用な資源の人と人との間の相互の交換だけでなく,一方的な贈与
や収奪も含めた移動と考えたとき,お金は人と人との関係を媒介する有用な資源
の特殊な一形態であると考えることができる。
そのような観点に立ったとき,お金は,それと等価な何物とでも交換可能な価値
中立的なモノであるだけでなく,どういった使い方をすることは望ましく,どう
いった使い方は望ましくないのかというような規範的な意味を担った文化的道具
である。子ども達がお金の使い方を習得する過程は,親の規範から逸脱しつつ,
にもかかわらず同時に,その文化において適応的に振る舞うことを学んで行く過
程でもある。私たちは,子どもとお金の関わりの発達的な変化を,それぞれの社
会の中で親から自立し,自らの欲望を実現し,同時に友人関係を築いて行く過程
として考えている。私たちのプロジェクトでは,日本・韓国・中国・ベトナムと
いう東アジアの4カ国の研究者が共同で,それぞれの国の子ども達のお金との関
わりについて,多様な方法の組み合わせによって研究を進めてきた。
方法は大きくは,次の3つからなっている。(1)それぞれの国の研究者が他の
国の家庭を訪問し,親子にインタビューする,(2)スーパーマーケットや駄菓
子屋,文具店,本屋などで子ども達の買い物の姿を観察し,そこで子ども達に直
接インタビューする,(3)各国の小学校5年生,中学2年生,高校2年生を対
象として質問紙調査を行う。質問の内容は,お小遣いのもらい方と使い方,使い
方についての善悪・許容度の判断,お金をめぐる親子関係と友だち関係の質問項
目からなっている。
文化心理学の研究実践は,スタティックな差異のインベントリーを作り上げるこ
とが目指されるのではなく,ある特定の文化の成員でもある研究者が他の文化の
成員の日常的な行動(文化的実践)に直面して驚き,同時に,逆に自らの日常的
な行動(文化的実践)を反省的に振り返り,相互の理解と共感を深めることを目
指すものであり,このようにダイナミックにわれわれの心を揺り動かすようにし
て他の文化が立ち現れてくるプロセスを理論化することが文化心理学の課題であ
る。そのようなものとして異文化を理解する実践を行うことは,歴史的に常に緊
張をはらむ関係にある国々の成員が,緊張と驚きをはらみつつも互いを理解して
行くための処方箋を実践の上でも提案することにつながって行くと考えている。
「社会認識研」は,政治制度や法,経済制度など,広く社会の仕組みに関する理
解の発達,およびそれらに関する教育実践に関心のある研究者・教育者が研究交
流する場を提供し,社会認識の発達について理解を深めることを目的した研究会
です。年2,3回の研究会と年1回の学会でのシンポジウムを予定しています。研
究会では,講師の先生に,最新の研究成果を紹介して頂いています。どなたでも
ご自由に参加できます。院生の方の参加も歓迎しています。参加費は無料です。
会場準備の都合上,ご参加いただける場合,外山紀子(津田塾大学)
(toyama@tsuda.ac.jp)まで,事前に連絡をお願いします。
■ 日時:2010年11月13日(土) 13時―15時
■ 場所:津田塾大学千駄ヶ谷キャンパス本館1階,研究所合同教室
(JR総武線 千駄ヶ谷駅駅前)http://osc.tsuda.ac.jp/access.html
■ 講演者:高橋登先生(大阪教育大学学校教育講座 教授)
<講演者プロフィール>
京都大学大学院教育学研究科修士課程修了 、博士(教育学)
主要業績 Takahashi, N. (2003) Learning of disabled children in Japan:
Simultaneous participation in different activity systems. Mind, Culture,
and Activity, 10, 311-332. 高橋 登 (2006) 読み書き能力の文化的発達の理
論に向けて. 心理学評論, 49, 197-210. Yamamoto, T & Takahashi, N. (2007)
Money as a cultural tool mediating personal relationships: Child
development of exchange and possession. Cambridge Handbook of
Socio-Cultural Psychology. New York: Cambridge University Press. ほか
■テーマ:文化的道具としてのお金の使い方の習得過程:対話的文化研究としての日中韓越お小遣い研究
<講演概要>
お金は,市場経済社会においては,交換価値の等しいいかなるものと
も交換可能であり,もの同士の交換を制度的に可能にするニュートラルな物差し
としての役割を担っていると通常はみなされている。けれども,経済活動を最広
義に定義し,有用な資源の人と人との間の相互の交換だけでなく,一方的な贈与
や収奪も含めた移動と考えたとき,お金は人と人との関係を媒介する有用な資源
の特殊な一形態であると考えることができる。
そのような観点に立ったとき,お金は,それと等価な何物とでも交換可能な価値
中立的なモノであるだけでなく,どういった使い方をすることは望ましく,どう
いった使い方は望ましくないのかというような規範的な意味を担った文化的道具
である。子ども達がお金の使い方を習得する過程は,親の規範から逸脱しつつ,
にもかかわらず同時に,その文化において適応的に振る舞うことを学んで行く過
程でもある。私たちは,子どもとお金の関わりの発達的な変化を,それぞれの社
会の中で親から自立し,自らの欲望を実現し,同時に友人関係を築いて行く過程
として考えている。私たちのプロジェクトでは,日本・韓国・中国・ベトナムと
いう東アジアの4カ国の研究者が共同で,それぞれの国の子ども達のお金との関
わりについて,多様な方法の組み合わせによって研究を進めてきた。
方法は大きくは,次の3つからなっている。(1)それぞれの国の研究者が他の
国の家庭を訪問し,親子にインタビューする,(2)スーパーマーケットや駄菓
子屋,文具店,本屋などで子ども達の買い物の姿を観察し,そこで子ども達に直
接インタビューする,(3)各国の小学校5年生,中学2年生,高校2年生を対
象として質問紙調査を行う。質問の内容は,お小遣いのもらい方と使い方,使い
方についての善悪・許容度の判断,お金をめぐる親子関係と友だち関係の質問項
目からなっている。
文化心理学の研究実践は,スタティックな差異のインベントリーを作り上げるこ
とが目指されるのではなく,ある特定の文化の成員でもある研究者が他の文化の
成員の日常的な行動(文化的実践)に直面して驚き,同時に,逆に自らの日常的
な行動(文化的実践)を反省的に振り返り,相互の理解と共感を深めることを目
指すものであり,このようにダイナミックにわれわれの心を揺り動かすようにし
て他の文化が立ち現れてくるプロセスを理論化することが文化心理学の課題であ
る。そのようなものとして異文化を理解する実践を行うことは,歴史的に常に緊
張をはらむ関係にある国々の成員が,緊張と驚きをはらみつつも互いを理解して
行くための処方箋を実践の上でも提案することにつながって行くと考えている。
