日本認知心理学会
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独創賞
評価基準

独創賞
(第1回)

受賞研究: 戸田正直 「アージ理論」

 第1回(2005年度)独創賞は、戸田正直氏(北海道大学名誉教授、中京大学名誉教授、現梅村学園学術顧問)の「アージ理論」に決まりました。
 2005年5月29日、金沢大学で開催された日本認知心理学会第3回大会において授賞式がおこなわれ、太田信夫理事長から戸田氏に賞状が授与されました。続いて、戸田氏による「Urge (アージ) 理論― The urge theory of emotion, cognition, and social interaction」と題した記念講演がおこなわれました。

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(写真:金沢大学提供)

選考経過
 独創賞選考委員会は、会員から推薦された3件の研究(3名の研究者、各1件)を第1回独創賞の候補研究とし、1研究あたり3名ずつの評価委員を選定して、認知心理学会のホームページで公表している評価基準にもとづいた独創性評価を依頼しました。評価委員は、それぞれの研究のテーマに関する専門家であり、非会員も含まれていました。評価委員から寄せられた評価報告をもとに、選考委員会で慎重に協議をおこなった結果、全員一致で標記研究を第1回独創賞の受賞研究とすることが決まりました。 戸田氏の「アージ理論」を評価するにあたっては、次の著書を評価の対象としました。
   戸田正直 『感情―人を動かしている適応プログラム』 (認知科学選書24)
東京大学出版会 1992年
  独創賞の評価基準では、候補研究を5つの類型のいずれかに分類しますが、選考委員会はアージ理論を「理論構築型の研究」に分類した上で評価を依頼しました。
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(写真:金沢大学提供)

アージ理論について
 この理論は、情報処理パラダイム(主に、意思決定研究)と適応論パラダイムを巧みに組合せることによって、「感情とは何か?」という問題に正面から答えようとした壮大な理論です。この理論の提供する回答は、感情のさまざまな側面を合理的に説明しているという点で非常に緻密であると同時に、それらの説明が互いに矛盾のない体系をなしているという点で理論としての高い整合性も備えています。
  この理論についての著作を戸田氏が発表しはじめた1980年の時点では、欧米でも感情の一側面だけを対象とした研究(例:感情と記憶、感情と表情などに関する研究)がほとんどであり、「感情とは何か?」という基本的な問に正面から取り組み、理にかなった答を与えてくれるような理論は他に見あたりませんでした。この点だけをとってみても、アージ理論は独創賞にふさわしい研究であると言えるでしょう。アージ理論の全貌は、まだ日本語でしか紹介されていませんが、仮にアメリカ人がこの研究をおこない、英語で発表していたとすれば、アージ理論に関連する数多くの研究が世界中でおこなわれ、また、数多くの概論書でこの理論が紹介されるようになったのではないかと思われます。
  アージ理論の実証的な検証作業はまだほとんど手つかずの状態ですが、これは後進に残された課題でしょう。ちなみに、現在、戸田氏はCambridge University Pressに依頼されて、アージ理論を英語で紹介する著書を執筆中とのことです。

独創賞選考委員会委員長 高野陽太郎

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(写真:金沢大学提供)

 
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